「ガタカ」を見たんだ。
アンドリュー・ニコル監督による近未来を舞台にしたSF映画。
粗い筋書き
遺伝子操作により優れた肉体と知能を併せ持つ「適正者」が数多く存在し、基準となっている近未来。それと稀に自然妊娠により誕生する「不適正者」
両者には社会的信用等の面で大きな隔たりがあった。
主人公ヴィンセント(イーサンホーク)は両親の自然妊娠により生まれた「不適正者」であり、遺伝子的疾患があり、予想寿命は30歳である。
生まれてすぐにそう告げられた両親は、後悔し遺伝子治療により「適正者」弟アントンが生まれた。
ヴィンセントとアントンには遺伝上を能力に大きな差があり、彼は肉体的にも知能的にもアントンに叶わなかった。
そんなヴィンセントには夢があった。それは「適正者」しかなることが許されない宇宙飛行士になるという夢だった。
大人になったヴィンセントは夢のため、仲介者と通じ「適正者」ジェローム・モローに成りすます。ジェロームモローは「適正者」であり銀メダル保持者であるが、交通事故により両足の自由を失っていた。
彼は生活費の保証される代わりに自分の遺伝子をヴィンセントに提供することにする。
こうしてヴィンセントとジェロームモローの生活が始まる。
好きなキャラクター
これは、まずはヴィンセント。
宇宙飛行士という夢を諦めないという一途な思いがこの映画全面にあふれています。
強い心を持ち、帰り道のことを忘れたときに不可能なんて無くなる。
彼は生まれつき心臓に疾患があり、予想寿命も30歳。それでも夢を諦めない少年漫画の主人公のように黄金の魂を持ったキャラクターです。
二人目はレイマー医師
遺伝子情報確認のためのお医者さんです。
宇宙施設の宇宙局「ガタカ」の職員であり、定期的に職員達の遺伝子情報を確認している。
方法は採血や検尿。
その度にヴィンセントは、ジェロームモローの血や尿と上手くすり替えて検査を誤魔化していたのですが、最後宇宙船に乗る前に抜き打ちの検査が突然行われます。
何も持っていなかったヴィンセントは仕方なく自分の遺伝子を差し出し、検査機器には「不適正者」の文字が表示されますが、レイマー医師はそれを取り消し「適正者」と書き換えます。
そしてヴィンセントに「自分の子供があなたを英雄だと思っている」と告げ、最後に彼をヴィンセントと呼ぶ。
好きなシーン
凄く悲しいけど、劇中で一定の人々は「不適正者」の事を「神の子」と呼びます。
ある女性にヴィンセントの正体がばれるシーンがあるのですが、その時も彼女は彼のことを「神の子なの?」と問いかけます。
遺伝子的に劣っている「不適正者」を「神の子」と呼ぶシーンは、少し考えらせられるシーンです。
もう1つ好きなシーン
ラストシーンで、ヴィンセントは宇宙へ行くことになります。
ヴィンセントは宇宙船に乗り、同時刻彼の自宅にてジェロームモローは焼却炉に入り焼身自殺をする。
そのとき彼は自分の人生で汚点と感じている銀メダルを首から提げて自殺します。
このシーンは自分なりの解釈なのですが、ヴィンセントはおそらく長い宇宙空間に耐えれず死んでしまう確立のほうが高いと思います。
お互いそれが分かっており、ヴィンセントを宇宙へ送り出したあとにジェロームも後を追ったのでしょう。
そして、コンプレックスの証だった銀メダルが炎に照らされて、金メダルに見えたのは偶然じゃなく、あれは彼にとっての金メダルだったのだ。
最後に
凄く美しい映画で、音楽もいいです。
定期的にロケットが宇宙へ飛び立っていくシーンが映るのですが、近未来的な風景の中で打ちあがっていくロケットの姿はとても美しく。
ヴィンセントの気高い精神と相まっているように思えます。